著作権が侵害された場合、どのような措置を講ずることができますか?
故意または過失による著作権侵害の事実について、権利者は権利侵害者に対して、以下のような請求を行うことができます。
- 侵害行為の差止請求
- 侵害行為による被害に関する賠償請求
- 侵害行為による被害についての回復請求
- 侵害行為によって、侵害者が不当に得た利益についての返還請求
など
このような請求は、侵害者に対して直接行うことができますが、当事者間に争いのある場合には、その解決を図るために、文化庁による紛争解決あっせん制度の利用や、民事事件として裁判所に提訴することにもなります。
また、著作権侵害は犯罪にあたりますが、この罪は親告罪(被害者からの告訴がなければ、検察官が裁判所に公訴できない罪)であるため、侵害者に刑事罰が与えられるためには、まず、権利を侵害された者からの告訴が必要となります。
この刑事罰には、以下のようなものがあり、懲役・罰金が併科される場合もあります。
- 著作権、出版権、著作隣接権の侵害については、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金
- 著作者人格権などの侵害については、5年以下の懲役または500万円以下の罰金
- 違法ダウンロードによる著作権の侵害については、2年以下の懲役または200万円以下の罰金
なお、法人等が行う業務による著作権侵害については、最高3億円以下の罰金が科せられる場合があります。
参照条文 著作権法第106条 第112条 第114条 第115条 第119条 第124条
インターネット上のサイトに匿名者が発信している情報によって、著作権が侵害されています。どのような対処ができますか?
「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制約及び発信者情報の開示に関する法律(別称:「プロバイダ責任制限法」)」の規程に基づき、権利を侵害された者は、サイト運営者(管理者)やサーバの管理者に侵害情報の削除を求める「送信防止措置依頼」のほか、サイト運営者(管理者)・サーバの管理者・通信プロバイダ等に対して、侵害情報の発信者に関する情報の開示を求める「発信者情報開示請求」を行うことができます。
ただし、通常、侵害情報の削除が行われる際には、発信者に関する情報が含まれるデータ等も失われてしまうため、発信者に関する情報の開示を求めるためには、削除を求める以前に、発信や受信に関わるデータ等の保全あるいは開示請求結果を待つ必要があります。
「送信防止措置依頼」や「発信者情報開示請求」は、サイトの運営者(管理者)やサーバの管理者、通信プロバイダ等に対して直接申し出る方法のほか、削除・保全・開示の仮処分を求めるための裁判所への申立や、サイトの運営者(管理者)やサーバ管理者、通信プロバイダ等を相手方とする提訴が選択される場合もあります。
参照条文 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制約及び発信者情報の開示に関する法律第3条及び第4条
参照資料 プロバイダ責任制限法著作権関係ガイドライン