早わかりNPO法人設立の認証
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NPO法人の正式名称は特定非営利活動法人といいます。民間の非営利団体をNPO法人にしたい、新しくNPO法人を設立したい。さて、NPO法人を設立するには、どうすればいいのでしょうか?
NPO法人を設立するには、「特定非営利活動促進法」という法律の定めに従って認証の申請を行います。認証決定の通知を受理したら、法務局(登記所)で法人設立登記をする必要があります。
都道府県知事か指定都市の長(所轄庁といいます)の認証にかかる手数料等は無料です。もし、行政書士に手続きを依頼した場合は、別途行政書士報酬がかかります。こちらは個別にお問い合せ下さい。
NPO活動の定義は1、法律で定める20分野のいずれかの活動を目的とすること、2、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与する活動を目的とすることです。
認証の申請をするにあたっては、まずNPO活動を行うことを主な目的として、次の要件を満たす団体でなければなりません。- 営利を目的としないこと。
- 社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと。
- 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること。
- 宗教活動や政治活動を主目的としないこと。
- 特定の公職の候補者若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又は反対することを主たる目的としないこと。
- 特定の個人又は法人その他団体の利益を目的として事業を行わないこと。
- 特定の政党のために利用しないこと。
- NPO活動に支障が生じるほど、その他の事業を行わないこと。利益が生じたときには、NPO活動に係る事業のために使用すること。その他の事業の会計はNPO活動に係る事業の会計から区分して経理すること。
- 暴力団、暴力団又はその構成員若しくは暴力団の構成員でなくなった日から5年を経過しない者の統制下にある団体でないこと。
- 10人以上の社員を有すること。
- 役員として、理事3人以上、監事1人以上を置くこと。
- 役員は、成年被後見人又は被保佐人、その他特定非営利活動促進法第20条に規定する欠格事由に該当しないこと。
- それぞれの役員について、その配偶者若しくは三親等以内の親族が2人以上含まれないこと、また当該役員並びにその配偶者及び三親等以内の親族が役員総数の3分の1を超えて含まれていないこと。
- 理事、監事はそれぞれの定数の3分の2以上いること。設立当初は定数を満たしていること。
- 会計は会計の原則に従って行うこと。
要件を満たしていることが確認できたら、NPO法人の設立者は設立趣旨書と定款案を作成し、NPO活動の趣旨に賛同してくれる人を集め、設立総会を開催して設立の意思を決定します。次に申請書類と添付書類の準備に入ります。申請書類と添付書類は11種類になります。
NPO法人の設立の認証申請は所轄庁に行います。窓口は東京都の場合、都庁第一本庁舎19階南側、東京都生活文化局都民生活部管理法人課NPO法人担当になります。認証決定までの期間は通常、申請受理日から2週間の縦覧期間を経て2か月以内(約2か月半)です。認証書が受け取ったら、その認証書が到達した日から2週間以内に、主たる事務所の所在地を管轄する法務局にNPO法人の設立登記を行わなくてはなりません。設立登記によってNPO法人が成立します。登記が完了したら、遅滞なく所轄庁に設立登記完了届出書を提出します。
さて、NPO法人を設立できたとして、そのままというわけにはいきません。毎事業年度初めの3か月以内に、前事業年度の事業報告書等を所轄庁に提出しなければなりません。事業報告書等の提出を怠った場合には、認証が取消しになることもありますので、ご注意下さい。また、役員の氏名、住所若しくは居所に変更があったときや役員が新たに就任したときなど、変更が生じた場合は、遅滞なく変更届出書を提出しなければなりません。その他、登記事項に変更が生じた場合には、法務局に変更登記をしなければなりませんし、法人によっては、税務署に法人税の申告をしなくてはなりません。
NPOを法人化するメリット
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NPO法人を設立するメリットは、
- 個人や任意団体で行動するよりも、法人として活動実績を情報公開することにより、社会的信用を得ることができる
- 法人名で銀行口座を開設したり、事務所を借りたり、不動産登記をするなど、法律行為をすることができる
- 行政からの業務委託や補助金を受けやすくなる
という3点です。その他、活動が注目されれば、マスコミで取り上げられる可能性もあります。今般、ボランティア活動は若者の間でも意識が高まっています。NPO法人の設立後は、各種申請の手間はかかりますが、毎年の決算や情報公開を通じて、法令の遵守や健全な活動を対外的にアピールできます。
行政書士に認証申請を頼むメリット
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では、行政書士に認証申請を頼むメリットは、
- NPO法人認証のために面倒な書類の準備と作成を多忙な方に代わって行います。
- 「どんなときに、どんな書類を、いつまでに提出するのか」一番知っているのは行政書士です。各種変更の届出や毎年の事業報告書等の作成など運営管理も行政書士に任せておけば安心です。
- 法律の改正、罰則について、最新の情報を、かみ砕いて提供します。
- 日々の会計記帳、外国人の雇用等、管理運営についてもアドバイスいたします。
NPO法人の認証申請を行政書士に頼んだ場合、行政書士はお客様のご都合のよい場所に足を運び、インタビューを行い、事業内容などのアドバイスをし、認証申請に必要となる書類を作成し、所轄庁に申請に出向きます。
それだけでもかなり大変な作業ではあるのですが、NPO法人の認証申請は手間ひま惜しまなければ、個人でもできないことはありません。
しかし、行政書士の本領発揮は、実は法人設立をしてからなのです。NPO法人をいったん設立したら、運営管理が始まることを意味します。日々の会計記帳、事務所の所在地、役員の新任・再任・退任・氏名変更・住所変更等々、各種変更が生じるたびに、遅滞なく変更届を提出しなければなりませんし、事業年度ごとに事業報告書等を提出することも義務付けられています。軽微な事項以外の定款変更に関しては、所轄庁の認証を受けなければなりません。
「どんなときに、どんな書類を、いつまでに提出するのか」一番よく心得ているのはプロである行政書士です。面倒な書類の準備と提出作業、所轄庁との折衝を行政書士はお客様に代わって行います。
さらに、現在の法律改正や罰則の情報を常に把握してアドバイスを行うのも、行政書士の仕事の一つ。税金や社会保険の相談は行政書士の業務ではありませんが、継続して業務を行っている行政書士は、他の士業とのネットワークを持っているものです。一度相談してみてください。
逆に言えば、フットワークが重い、情報提供やアドバイスを行わない行政書士に、仕事を頼むメリットはありません。代わりの行政書士を探しましょう。
新しい行政書士を探すときは、「NPO法人」関係を主要な業務として行っているかどうか、確認してください。依頼した業務にかかる期間と費用を(事前にある程度打ち合わせが必要な場合もありますが)、明快に提示できるかどうかも、選択の基準になります。
なお、「行政書士倫理綱領」には「秘密保持の義務」「不当誘致等の禁止」「違法行為の助長等の禁止」「報酬の提示」等が定められています。無料相談会や電話による無料相談により秘密が漏れたり、いきなり料金を請求されたりすることはありませんので、安心してご相談ください。
法律で定める20分野のNPO活動
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NPO法人の設立の認証を受けるためには、法律で定める20分野のいずれかの活動を目的とすること、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与する活動を目的とすることとされています。
まず、団体が20分野のどの活動に該当するのか考えなくてはなりません。1つ又は複数の活動が該当する必要があります。
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 観光の振興を図る活動
- 農山漁村または中山間地域の振興を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
- 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県知事又は指定都市の条例で定まる活動
所轄庁
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NPO法人の設立認証申請は、所轄庁に行います。
主たる事務所のある都道府県知事か指定都市の長が所轄庁となります。つまり、東京都に主たる事務所を置くのであれば、東京都に申請します。
認証を受けた所轄庁がどこであろうと、活動の範囲に制限はありません。日本全国や海外などでも活動はできます。
手続きの流れ及び認証までの期間と費用
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東京都の場合、認証申請書類の提出先は、東京都生活文化局都民生活部管理法人課NPO法人担当です。認証までの流れは以下のようになります。
相談(事前相談)→申請書提出→受理→縦覧→審査(補正手続の場合あり)→認証決定→認証決定通知受理
申請書類受理後、申請受理日から2週間は縦覧期間となり、縦覧期間経過後2か月以内に審査が終わります。認証決定までは約2か月半となります。
所轄庁への認証申請の手数料は無料です。
認証書が届いたら法務局(登記所)に法人設立登記をし、登記完了後、設立登記完了届出書等を所轄庁に提出しなければなりません。
認証に必要な書類
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NPO法人設立認証の申請に必要な書類は以下になります。
提出書類は住民票などの官公署が発給する書類を除いてA4で作成します。
※東京都の場合は各1部ですが、所轄庁によっては部数が異なる場合があります。
- 設立認証申請書
- 定款
- 役員名簿及び役員のうち報酬を受ける者の名簿
- 各役員の就任承諾書及び誓約書の写し(謄本)
- 役員の住所及び居所を証明する書面(原本提出・申請日から6か月以内・マイナンバーが記載されていないもの)
- 社員のうち10人以上の者の名簿
- 確認書
- 設立趣旨書 2部
- 設立について意思の決定を証する議事録の写し(謄本)
- 設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書(2年度分)
- 設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書(2年度分)